シリコンスタジオのレンダリングエンジン『Mizuchi』、 住友林業と共同開発の3DCG住宅プレゼンテーションシステムに採用 フォトリアルな質感と深みのある陰影表現を実現
エンターテインメント業界を中心に、自動車、映像、建築など、さまざまな業界向けにデジタルコンテンツ関連ビジネスを展開するシリコンスタジオ株式会社(本社:東京都 渋谷区、代表取締役社長:梶谷 眞一郎、東証マザーズ:証券コード3907、以下「当社」)は、住友林業株式会社(本社:東京都 千代田区、代表取締役 社長:市川 晃、以下「住友林業」)と共同開発した3次元住宅プレゼンテーションシステム(3DCAD)において、当社が開発・販売するリアルタイムレンダリングエンジン『Mizuchi(ミズチ)』が採用されたことをお知らせします。
当社が開発・提供する3DCGの描画に特化したレンダリングエンジン『Mizuchi』は、金属、樹脂、ガラス、布、材木など、多種多様な質感を実写に迫る品質で表現することが可能です。建築物に用いられるさまざまな素材を忠実に再現できる『Mizuchi』は、これまでも多くの不動産や建築分野のCGコンテンツ制作で採用されてきました。
住友林業の新型3DCADシステムは、住宅のCADデータから3DCGの施工イメージを生成し、3次元でのバーチャル内見を可能にする施主向けプレゼンテーションシステムです。内観や外観をさまざまな角度から確認することができます。
住友林業では、よりリアルな立体画像による提案を実現させるため、新型3DCADシステム(旧名称:Real Time 3D)のレンダリングエンジンを従来のものから『Mizuchi』に変更することを決定し、このたび移行作業が完了しました。
住友林業の住宅展示場、ショールームなどで全国的に利用開始されます。
今回の『Mizuchi』導入により、新型3DCADシステムでは、素材の材質のPBR(注1)化によってフォトリアルな質感の表現が大幅に向上しています。
また、全天球画像を光源とするIBL(注2)とライトプローブ(注3)によるGI(注4)により間接光の表現が可能となったため、深みのある陰影や映り込みの描画が実現できるようになりました。ライトプローブは、あらかじめ設定されているテンプレート情報に従って最適な場所へ自動的に配置されるため、専門的な知識は不要です。
さらにSSAO(注5)、RLR(注6)、グレア(注7)などのポストエフェクト(注8)の機能により、リアルな住宅の空気感を表現する手法の幅が広がりました。
なお、当社は『Mizuchi』のライセンス提供のみならず、旧レンダリングエンジンからの移行作業も支援いたしました。
また、旧システムの材質ライブラリから簡易的にPBR化した材質に変換できる専用コンバーターも開発し、提供いたしました。これにより、旧システムでの資産も有効に活用することが可能です。
『Mizuchi』でレンダリングされた新型3DCADシステムによる室内イメージ
注1) PRR(Physically-based rendering):物理ベースレンダリング。光の反射や拡散を物理的な計算をもとにレンダリングし、より現実に近い表現が可能になる手法。
注2) IBL(Image-based lighting):イメージベースライティング。背景そのものを光源とみなすライティング手法。全方向から入ってくる光を反映させることで現実に近い自然な光源を再現する。
注3) ライトプローブ:シーン中に複数設置し、周りのオブジェクトから間接光の影響をあらかじめ計算して照明効果を表現する技術。
注4) GI(Global Illumination):グローバルイルミネーション、大域照明。シーン内のマテリアル、各オブジェクト間によって反射または吸収される光を計算し、直接光だけでなく間接光も考慮した空間表現をシミュレーションする技法。
注5) SSAO(Screen Space Ambient Occlusion):物体が近接して狭くなったところや部屋の隅などに、周囲の光(環境光)が遮られることによって影が現れる現象を擬似的に追加する技法。
注6) RLR(Realtime Local Reflection):水たまり、テーブルなど、局所的に周囲の風景が写り込んでいる様子を材質の反射特性に応じて表現する技法。
注7) グレア:撮影レンズや人間の眼球で眩しい箇所を捉えたような光の溢れ出しを表現する効果
注8) ポストエフェクト:グラフィックスをより豊かに見せるためのビジュアルエフェクトの数々を、レンダリング済みのフレームに対して後処理(ポストプロセス)として付加するもの。
※ Mizuchiは、シリコンスタジオ株式会社の登録商標です。
※ その他、記載されている名称は各社の商標または登録商標です。